魔法の鍵と隻眼の姫
一座の逗留場所は山近くの森で大きめなテントがいくつか張ってある。
「すぐそこが天然温泉が湧いてる所だ。綺麗に整備されてて誰でも入れる。だがこんな外れに人は来ないからほぼ貸切状態だ、何時でも入っていいぞ?」
テントの一つに案内され中に入ると傍らに荷物が置いてあるが広く、簡易ベッドも置いてある。
ラミンはミレイアをベッドに寝かせると毛布を掛け頭を撫でる。
「熱が上がってるな…」
「ラミンその子は寝かせてれば大丈夫でしょ?ここはほんとは私のテントなのよ、貸してあげる代わりに私に付き合って!」
テントまで付いて来たアマンダが何とかこちらを向かせようとラミンに触れるが相手にしないラミン。
「アマンダ、悪いが今はこいつに付いてやりたい。桶とタオルを貸してもらえないか?」
「な、何よ…、そんなものないわ。いいの?私に冷たくするなら言い伝えの事教えてあげないわよ?」
頬を膨らまし素気無い自分に向かって食って掛かるアマンダにため息をついたラミンは振り返りますます冷たい目でアマンダを見た。
「アマンダ、子どもじゃないんだから状況を考えろよ。言い伝えはお前が教えてくれなくても誰かに聞いて回れば分かるだろう。ノニ、いるか?」
目を丸くするアマンダを置いて、ラミンが呼ぶとどこからともなく現れたノニ。
「ノニ、桶と氷水とタオル、出せるか?」
うんうん頷いたノニが金粉を撒くと桶に入った氷水とタオルがふわりと現れた。
「おっすげーやっぱ役に立つなノニは。助かる」
頭をぐりぐりと撫でまわすラミンに嬉しそうに笑うノニにも嫉妬するアマンダ。
でも改めてこのノニというのは凄い。
確か妖精と言っていたけど見世物にしたら受けるかもしれない。
欲しい…。
目をぱちくりさせていたアマンダがハッと思い出す。
「わ、私のトランクは?」
褒められて喜んでいたはずのノニがムッとした顔で仕方ないとでも言うようにのろりと飛び上ると辺りに金粉をまき散らした。
すると大きな3つのトランクがドサッと現れる。
「ちょっと!トランクが壊れるじゃない!」
文句を言ったアマンダの顔の前に飛んできたノニはべーっと舌を出して飛んで行った。
悔しくて手を伸ばして捕まえてやろうとしたけどひょいひょいかわされノニはラミンの肩に乗ってまたべーっと舌を出す。
「もう!なんなのこの虫!」
「アマンダ、用が済んだら出てってくれないか?少し静かにしてくれ」
地団太踏むアマンダに振り返りもせず冷たく言うとラミンはタオルを縛りミレイアの額を拭う。
その愛おしそうな横顔にアマンダは得も言われぬ憤りを感じ嫉妬が膨らみ、ふん!と翻し乱暴にテントの幕を開けると出て行った。
「すぐそこが天然温泉が湧いてる所だ。綺麗に整備されてて誰でも入れる。だがこんな外れに人は来ないからほぼ貸切状態だ、何時でも入っていいぞ?」
テントの一つに案内され中に入ると傍らに荷物が置いてあるが広く、簡易ベッドも置いてある。
ラミンはミレイアをベッドに寝かせると毛布を掛け頭を撫でる。
「熱が上がってるな…」
「ラミンその子は寝かせてれば大丈夫でしょ?ここはほんとは私のテントなのよ、貸してあげる代わりに私に付き合って!」
テントまで付いて来たアマンダが何とかこちらを向かせようとラミンに触れるが相手にしないラミン。
「アマンダ、悪いが今はこいつに付いてやりたい。桶とタオルを貸してもらえないか?」
「な、何よ…、そんなものないわ。いいの?私に冷たくするなら言い伝えの事教えてあげないわよ?」
頬を膨らまし素気無い自分に向かって食って掛かるアマンダにため息をついたラミンは振り返りますます冷たい目でアマンダを見た。
「アマンダ、子どもじゃないんだから状況を考えろよ。言い伝えはお前が教えてくれなくても誰かに聞いて回れば分かるだろう。ノニ、いるか?」
目を丸くするアマンダを置いて、ラミンが呼ぶとどこからともなく現れたノニ。
「ノニ、桶と氷水とタオル、出せるか?」
うんうん頷いたノニが金粉を撒くと桶に入った氷水とタオルがふわりと現れた。
「おっすげーやっぱ役に立つなノニは。助かる」
頭をぐりぐりと撫でまわすラミンに嬉しそうに笑うノニにも嫉妬するアマンダ。
でも改めてこのノニというのは凄い。
確か妖精と言っていたけど見世物にしたら受けるかもしれない。
欲しい…。
目をぱちくりさせていたアマンダがハッと思い出す。
「わ、私のトランクは?」
褒められて喜んでいたはずのノニがムッとした顔で仕方ないとでも言うようにのろりと飛び上ると辺りに金粉をまき散らした。
すると大きな3つのトランクがドサッと現れる。
「ちょっと!トランクが壊れるじゃない!」
文句を言ったアマンダの顔の前に飛んできたノニはべーっと舌を出して飛んで行った。
悔しくて手を伸ばして捕まえてやろうとしたけどひょいひょいかわされノニはラミンの肩に乗ってまたべーっと舌を出す。
「もう!なんなのこの虫!」
「アマンダ、用が済んだら出てってくれないか?少し静かにしてくれ」
地団太踏むアマンダに振り返りもせず冷たく言うとラミンはタオルを縛りミレイアの額を拭う。
その愛おしそうな横顔にアマンダは得も言われぬ憤りを感じ嫉妬が膨らみ、ふん!と翻し乱暴にテントの幕を開けると出て行った。