STAR SONG
俺が和奏に恋したと気づいたのは2年前。中学3年のころだった。転校生で一人ぼっちでいた俺に和奏は笑顔で話しかけてきてくれた。一人ぼっちだった俺に居場所をくれた。

それからは俺と和奏は仲良くなり、次第に俺は和奏を好きになり始めていた。もしかしたらその前から恋をしていたのかもしれない。自覚したきっかけは偶然和奏がほかの男子に告白されているのを見てしまったから。

悔しいと思った。和奏を誰にも取られたくなかった。そして気づいた。これは和奏に対する嫉妬だって。

そして俺達は無事3年になり、それでも変わらない日々を送り。そしてついに卒業した。高校も和奏と一緒だった。強いて文句を言うなら和奏とクラスが違うことだった。でも、いつもと変わらない日々を送るものだと思っていた。そう思い込んでいた。

でも違った。和奏はすぐ智也と仲良くなった。智也とは趣味も合い、すぐに仲良くなることができた。もちろん嫌な気はしなかった。俺にも友達が作れるんだって思うと嬉しかった。クラスの人とも“友達”という関係になれた気がした。

でも、智也は和奏を好きになった。それは鈍感な俺でもわかるくらいにわかり易かった。でも俺の方が和奏と早く出会ったから、俺の方が和奏と過ごした時間が長いから。絶対に和奏は智也を好きにならないと思っていたんだ。

でも現実はそんなに甘くはなかった。和奏も智也に恋をした。でも2人は両思いだって気づいていない。

……チャンスだと思った。もしフラれて、いままで通りの生活が送れなくなったとしても、俺の気持ちを伝えたかった。俺の気持ちが伝わればそれでよかった。

でも違った。俺が告白した時のあの顔を俺は一生忘れられないかもしれない。いっそ「他に好きな人がいる」って言ってくれればよかった。でもきっと和奏は俺を振って、元の生活に戻れなくなるのが嫌だった。

…そんなことにも気づけない俺は和奏の彼氏になる資格はないと思った。だから離れた。逃げた。自分から、そして和奏の真っ直ぐな気持ちから目を逸らし続けていた。

……でも、それは後悔の始まりだった。
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