STAR SONG
「今日、和奏さんが転校します。」

先生のその言葉でクラスが水を打ったように静かになった。

そう。2つ目の障害は私の転校だった。理由は親の転勤。

ここから多く離れた都会の方に引っ越すことになった。

そして放課後、転校のことが遡夜にも伝わったらしい。智也が私のところに飛んできた。

「和奏!!どういうこと?!なんで、なんで言ってくれなかったの!?」

「……僕じゃ、頼りなかった……?」

私が転校のことを言わなかったのは、最後の最後までこの関係を壊したくなかったから。……でも、こんな惨めなこと言いたくはない。

「和奏、なんで……なんで何も言ってくれないの…?やっぱり、僕じゃ頼りなかった……?」

「っ!違う!!智也は悪くない!全部、私の勝手な行動のせいだから……」

「なんで!和奏では何も悪くない!!」

「………………、ごめん!!!」

私はそう言うと全力で走った。

「和奏!!!」

智也が私の名前を読んでくれてる。でも、その声は悲痛だった。

私は走った。どこに向かってたんだろう。家かな?それとも誰にもバレないような、そんな場所かな?

「……きゃっ!ご、ごめんなさい……!って、遡夜……」

「和奏、どういうこと?転校って…………俺に告白されたの、そんなに嫌だった…?」

「違う!!そうじゃない!!」

「じゃあなんで!!なんで……何も言ってくれなかったんだよ……」

遡夜の顔は今にも泣きだしそうな。そんな顔だった。


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