白雨の騎士


アリスはシドの顔を見た。


そして、ふっと小さく笑った。


「…そっか、結婚したいじゃなくて、結婚したいと思う人、か。」


アリスの笑った顔にシドも微笑んだ。


「来週から宜しくね。アナモネア国は初めて行くし分からない事だらけ。」


「僕も行ったことはありませんが、アリス様のことは我々がお守りします。」


シドの言葉にアリスはドキッとした。


「うん…ありがとう。」


アリスを部屋は送った後、シドは少し考えた。

あんな事を言って良かったのか。

未来の女王になる方だ。アリス様が望む人と結婚できるとは限らない。

彼女はそれを分かっているからこそ、結婚したいと言う気持ちが起きないんだろう。


「…無責任な事言ったかもな。」

シドはそう呟くと、自分の部屋に戻った。

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