白雨の騎士
「あんたが来る事は分かってましたよ。でももう俺はハデス家の人間じゃない。」
「お前の言い分は分かった。父親の汚名を晴らすため、ならば何故叔父上を襲った。」
キトは右手を上げると再び黒い煙が湧き出て来た。その煙から一本の剣が出てきた。
「アテクシ様が俺の思惑に気がついたからだ。」
キトは剣をルカに向けた。
「ルカさん、ハデス家には本当に世話になった。だけど俺はこの男の首を取らなきゃならないんだ。親父は今も監獄の中だ。くだらない王家の名誉とやらの為に。」
キトの姿は一瞬黒い煙に巻かれたと思うと、瞬間でルカの前に現れ剣で切りかかった。
キィンっと剣がぶつかり合う音が響いた。
「…はっ!」
キトが剣を振りかざすと、ルカは素早く避けた。
「やめろっ、キト!」
ガンッ!!!
ルカの攻撃をキトは受け止めた。
剣と剣がぶつかり合い火花が飛んだ。
魔法使い同士の戦いにシドとアンナは手出しできなかった。