白雨の騎士
シドたちがホールに戻って数時間。
未だに国王やルーン王子も中から出てこない。
自室に戻ったアリスは行ったら来たり部屋を歩き回り落ち着かない様子だった。
「…アリス様。。」
ソフィアも心配そうに窓から外を見た。
アリスは何かを決心したように、ドアノブに手をかけようとした時ー
ガチャっ
扉が開いてアンナが入って来た。
血が滲んだ腕を抑えるアンナを見てアリスの顔から血の気が引いた。
「アンナ、大丈夫?!みんなは…」
震えた声で言うアリスを見てアンナは優しく微笑んだ。
「…大丈夫です。侵入者達は捉えました。国王もルーン王子も無事です。ですが…」
アンナの視線が少し落ちた。
「シドだけ、気を失っています。怪我はありませんが…」
そこまでアンナが説明すると、アリスは部屋を飛び出した。