白雨の騎士

アリスは舞踏会が行われていたホールへ向かった。

すると、ルカに背負われたシドが中から出て来た。

息を切らせて走って来たアリスを見て、ルカは脚を止めた。


「アリス様。ハデス家のルカと申します。シドは無事です。」


ルカの言葉にアリスはゆっくり近寄った。

シドは眠ったままだった。腕を見ると、模様が刻まれている。

後からソフィアとアンナも駆けつけた。


「…シドを医務室に運びます。」


***

キト達はアナモネア国の兵士達に取り押さえられ城の地下牢に入れられた。

シドは医務室のベッドで手当てを受けたがまだ意識は戻らなかった。

アンナはアジュールの王へ向けて今夜の騒動の報告書を書き早馬で送った。


アナモネアにはあと2日滞在の予定だったが、今回の事で明日の早朝に国へ引き返すことに決まった。


深夜遅く、アンナと共に報告書をまとめていたルーンの元へルーン王子がやって来た。


「私達の命を守ってもらい感謝する。あの者達は我が国の法律で裁いた後にアジュール国へ送る事になった。しかし、キトが言っていた父の件も改めて調査しもし冤罪があるようであればキトの父親の罪は取り下げるつもりだ。」

ルーン王子はそれだけ伝えると部屋を後にした。



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