白雨の騎士

頭を抱えるシドを見て、ルカはそれ以上は話さなかった。


「…混乱するのも無理はない。今回は我が一族の事で巻き込んですまなかった。落ち着いたらまたアンナから詳しく聞くといい。」

ルカはそれだけ言うと医務室を後にした。

アンナは暖かい紅茶を入れてくれた。


「シド。疲れてるところ悪いけどアリス様は今朝帰国する事になったのよ。10時にはここを立つ予定。それまではゆっくりしていて」


アンナはシドの服や剣を机に置いて部屋を出て行った。


俺が…ウォルドーフ家の生き残りで、光の力を待っている。

手のひらを開いて動かしてみた。

やっぱり、今までと何も変わらない。

本当にそんな力があるのか…

シドは暫くベッドに座ったまま外を眺めた。

そう言えば、アリスに連れられて行った小屋であの紋章を見た時、不思議な感覚がした。

深く息を吸い込んで深呼吸した。


考えていても仕方がない。

服を着替えて、腰に剣を刺した。


コンコン

すると、ドアがノックされアリスが入って来た。



< 129 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop