白雨の騎士
頭を抱えるシドを見て、ルカはそれ以上は話さなかった。
「…混乱するのも無理はない。今回は我が一族の事で巻き込んですまなかった。落ち着いたらまたアンナから詳しく聞くといい。」
ルカはそれだけ言うと医務室を後にした。
アンナは暖かい紅茶を入れてくれた。
「シド。疲れてるところ悪いけどアリス様は今朝帰国する事になったのよ。10時にはここを立つ予定。それまではゆっくりしていて」
アンナはシドの服や剣を机に置いて部屋を出て行った。
俺が…ウォルドーフ家の生き残りで、光の力を待っている。
手のひらを開いて動かしてみた。
やっぱり、今までと何も変わらない。
本当にそんな力があるのか…
シドは暫くベッドに座ったまま外を眺めた。
そう言えば、アリスに連れられて行った小屋であの紋章を見た時、不思議な感覚がした。
深く息を吸い込んで深呼吸した。
考えていても仕方がない。
服を着替えて、腰に剣を刺した。
コンコン
すると、ドアがノックされアリスが入って来た。