白雨の騎士
シド達は小屋で馬に餌をやった。
「…ここでは必要以上にアリス様に護衛する必要はない。アリス様にゆっくりと休んでもらう事が重要だ。」
アンナは湖のほとりに行き大きく伸びをした。
「いい所ですね。」
シドも美しい景色を前に、普段の緊張感から少し解放されたような気がした。
すると、アリスとリアが庭に出て来た。
今回リア様の 同行が急遽決まった。
「アリス様がここに誰かを連れて来たのは初めてだ。」
楽しそうにリアと話をしているアリスを見てシドは何処か安心した。王宮内で親しくしている人は従兄弟のマリア様だけだったようだ。
その日の夕飯はテラスに用意された。
料理は庶民的な家庭料理が並び、アリスはリアとお喋りしながら夕飯を楽しんだ。
「…王宮に越して来てからこんなに誰かとお話ししたのは初めてです。」
「私もよ。オーギストからはもっとサロンに王宮の夫人たちを招くように言われているけど、どうしても苦手で」
「私もです!」
食い入るように言うリアは、思わずあっと顔を赤くした。
「ごめんなさい…でも本当に私も苦手です。。お母様からは積極的に参加しなさいと言われているのですが。」