白雨の騎士

「以前はデリヌア州に住んでいました。母と離婚した私の父が大変な浪費家で貴族といえど貧しい生活をしていました。」


「そうだったの…大変な思いをしていたのね。。」


「いえ…前の暮らしもそれなりに気に入っていました。ですから、この王宮での暮らしに慣れるにはまだまだ時間がかかりそうです。」


その夜、アリスとリアは互いに色々な話をした。


アリスは今まで心を許せる話し相手といえば従姉妹のマリアだけだったので、リアと話せてとてもたのしかった。

「この離宮にいる間はゆっくりしてね。明日はお互い自由に過ごしましょうか。ここの物は何でも使ってちょうだい。」


「…では、キッチンを使ってもいいでしょうか。王宮へ来る前はよく料理をしていたので久しぶりに何か作りたくて。。」


「ええ、もちろん。エディが小さな畑で作物を育てているわ。畑のものも料理に使ったらいいと思うわ。」

リアはありがとうございますと、とても嬉しそうに笑った。

王宮で暮らせば以前のような貧しい思いをする事をないだろうけど、その代わりに自由はなくなる。しきたり、作法、王宮内での人間関係。

きっとリアは慣れない王宮暮らしに心細かっただろう。

ここでは好きに過ごして欲しいとアリスは思った。
< 143 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop