白雨の騎士

ポツ、ポツ…

するとさっきまで晴れていた空が急にどんよりした雲に覆われたかと思うと、雨が降って来た。

「アリス様、雨が降って来たので戻りましょう。」

森を抜け馬を止めた場所に戻ると馬車はまだ帰って来ていなかった。

「まだ修理から戻らないみたいね。雨が強くなって来たわ」


アリスを馬に乗せて帰るにも雨足が早い。


「シド、雨を凌げる洞窟があるわ」

アリスはシドの腕を掴んで走り出した。

森の中に戻ると蔦に覆われた洞窟があった。

「雨が収まるまでここで待ちましょう。」

それにしても、馬車の車輪を治すと言っていたが戻りが遅い。何かあったんだろうか…

「っくしゅん」


「大丈夫ですか、これを。」


シドは上着を脱いでアリスにかけた。


アリスはドキッとして少し頬を赤くした。

「…すごい雨ですね、」

シドは一向に止まない雨に空を見上げていった。


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