白雨の騎士

アリスはパっとシドから離れた。

心臓の鼓動がドクドクと鳴り響いた。

シドの手が背中を撫でてくれている。

洞窟の中に2人きり…シドは何とも思わないのかな。

自分1人が緊張していると思うと急にアリスは恥ずかしくなって顔を赤くした。

だってシドは平然としてるんだもの。。

「…シドって恋人がいたことある?」

「えっ?」

アリスの問いかけにシドは少し驚いた顔をした。


「いいえ…」

いないと言われてアリスは何故かホッとした。

「縁談とかはなかったの?」


「僕は養子で育てたくれたアーデル家に恩返しがしたかったので、毎日仕事をして、騎士になる為に剣の稽古をして、恋人とか結婚の事なんかは考えてませんでした。」

シドの容姿なら女性から人気があると思うけど、当の本人は全く恋愛に興味がないようだ。


雨は次第に弱まり、辺りが明るくなって来た。



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