白雨の騎士
初めて会った時、アリス様は虹を待っていたのか。
シドは王宮の庭でソフィアと名乗ったアリスと会った時のことを思い返した。
2人は森を抜けた。まだ馬車の姿はなかったのでシドの馬に乗って離宮まで戻った。
途中、川が決壊して丸太で出来た橋が流されていた。
橋が壊れたせいで馬車は戻らなかったようだ。
暫く走ると前方から馬車とアンナ達が見えた。
「…アリス様、シド!」
シドは馬を止めてアリスを降ろした。
「良かった…橋が壊れてしまって。大丈夫でしたか?すごい雨でしたね…」
「洞窟で雨宿り出来たから大丈夫よ。」
無事に離宮まで戻るとリアが心配して外で帰りを待っていた。
アリスは着替えて食堂へいくと、リアが作ってくれた夕飯が並んでいた。
「ご無事で良かったです。」
「遅くなってごめんなさい。すごく美味しそう。リアは料理が上手いのね。」
アリスは食べながら、ふとシドと過ごした洞窟の中の事を思い出した。