白雨の騎士
食事の後、ハンスとシドは庭に出て一緒に星空を眺めた。
昔から2人はよくここで一緒に星を見ていた。
「ハンス、そういえば縁談はどうなったんだ?」
王宮へ行く前に縁談を受けると聞いていた。
「ああ、あれね…色々あって断ったの。まだ暫くは結婚はいいかなと思って」
「そうだったのか。」
「それよりシド、ハデス州へ何しに行くの?」
シドは少し黙った。そして、話そうかずっと迷っていたが、ハンスになら話しても大丈夫だろうと思っていた。
「…この間、皇女様の付き添いでアナモネア国へ行ったんだ。その時分かったんだが、俺は魔法使いで光の力を持っているらしい。」
シドの言葉にハンスは首を傾げた。
「…シドが、魔法使い?」
「俺は何年も前に途絶えたウォルドーフ家の人間のようだ。」
ウォルドーフ家…
ハンスはその名前には聞き覚えがなかった。