白雨の騎士
翌日ー
シドが今まで使っていた部屋は何も変えずそのままにしておいてくれていた。
久しぶりの自分のベッドでぐっすり眠れた。
馬でハデス州まで行こうと思っていたが、旦那様が馬車を用意してくれていた。
「ハデス州は遠い。馬車で行きなさい。」
「旦那様…ありがとうございます。」
シドは馬車へ乗り込むとハデス州に向けて出発した。
王都からは遠く離れたハデス州。シドは初めて行く地だ。
まだ多くの魔法使いが存在する州。
1日馬車に揺られ、夕方にようやく到着した。
地元の人に聞いて、ルカが住むハデス家の屋敷の前に来た。
馬車から降りて大きな門を見上げた。
ガチャっ…ギィー〜
すると、手を触れていないのに勝手に門が開いた。