白雨の騎士

入っていいって事か…?

シドは恐る恐る中に入った。

長い廊下を歩くとシドが通るたびに壁のランプに火が灯った。

すごい、これが魔法ってやつか。。


少し広い場所に出るとドアがあった。

シドはゴクリと喉を鳴らすとノックをした。


「…どうぞ。」


中から男の人の声がした。

ゆっくりと部屋の中を覗くと、テーブルで何か書物を見ている男の人が顔を上げてシドに視線を向けた。


「やぁ、初めまして。ハデス家当主のアテクシです。」


この人がアテクシ様。


シドはローブを脱ぐとアテクシの前まで近寄った。

「そこへお掛けなさい。」


小さなテーブルにティーカップとポットが置かれている。


「…砂糖は?」


「あ、お願いします…」

すると、アテクシは人差し指を天井にくいっと向けた。

裏返しに置かれていたティーカップはひとりでにくるっと回転し、ポットが宙に浮き上がるとゆっくりとカップに紅茶が注がれた。

シュガーポットから砂糖が2粒浮き上がるとポンポンと紅茶の中に溶け込んだ。


目の前で初めて魔法を見てシドは驚いた。
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