白雨の騎士

「それからウォルドーフ家。何十年も前に一族は皆絶えたと言われていた。その理由が、ウォルドーフ家は昔から州を持たずに各地を転々と旅しながら暮らしていたんだ。だが、次第にウォルドーフ家の血を受け継ぐ者は減り、ある時残された一族は船の事故に遭いそこで全滅したと聞いている。」


船の事故…


「恐らく君のご両親も…だが、君が生きていた。孤児院に居たそうだね。私も憶測でしかないが、その船の事故で奇跡的に君は助かったのか、或いは君はその船に乗っていなかったか。申し訳ないが我が一族もウォルドーフ家とは疎遠になっていて、詳しくは分からない。」

シドはアテクシの話を最後まで聞くと大きく息を吐いた。


「…君は王宮の騎士であるとルカから聞いている。」


「はい。数ヶ月前より王宮で近衛隊として働いています。」


「君が今、成すべき事は近衛隊として王家をお守りする事。この事に光の力を持っている事はなにも支障はない。」

その言葉にシドは顔を上げた。

アテクシはシドの肩に手を置き優しく微笑んだ。


ふっと肩の力が落ちた。この間から胸に詰まってモヤモヤしていたものもスッと消えた気がした。


コンコン

すると扉が開き、ルカが入ってきた。


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