白雨の騎士

「やぁ、シド。」

ルカはシドの隣に座った。


「アートから聞いたよ。疑問は解けたかな」


「…はい。アテクシ様、教えて下さってありがとうございます。」

お礼を言うシドにアテクシは優しく微笑んだ。

「我が一族とウォルドーフ家は昔から強い絆があった。今後何か困ったことがあったらまたここへ来るといい。」


シドはアテクシと握手をすると、ルカに案内され別の部屋に向かった。

ルカは今夜シドが泊まれる部屋を用意してくれていた。


「…君の家の馬車は先程帰ったよ。明日、キトに会いに王都へ行く予定だから私が送っていこう。」


「ありがとうございます。あの、キトはどうなるのでしょうか。」


ルカは少し表情を曇らせた。

王家との掟を破ったキトの罪は裁判によって決められる。


「…まだ分からない。今回の事は大罪。国外追放かもっと悪く言えば、死罪。しかし、彼の闇の力は消された。それがどう判決を下すかだ。」


ルカは手のひらを広げた。

「私も闇の力を持っていると分かった時は自分が恐ろしかったよ。まだほんの子供だったが夜眠れなくてこの力が消えないかと願っていた。シドも突然の事で混乱しただろう。」


「はい…ですが、今日アテクシ様とお話しして気持ちがだいぶ落ち着きました。これからも近衛隊として仕事を全うしたいと思います。」


シドの言葉にルカは安心したように笑った。


< 162 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop