白雨の騎士
「…うーん!はぁっ、疲れたー」


アリスの部屋でマリアは大きく伸びをした。


「…マリア、一人で帰って来たの?」


「うん。船代がなくなって、貿易船に頼み込んでここまでやっと来た。」


マリアの言葉にアリスはポカンとした。


ソフィアが用意したお茶をマリアは一気に飲み干した。



「…やっぱり母国は落ち着くね。あ、そうだ。これお土産」


マリアは青い鈴の髪飾りを差し出した。


「私が下宿している家の人が作っているんだ。」


「ありがとう。」


アリスが鈴を受け取ると、チリンと綺麗な音が響いた。



「…アリスは?元気だった?何か変わったことは?」


「…特にないよ。変わらずつまらない毎日。」


そう答えるアリスにマリアはふふっと笑った。



コンコン

扉がノックされて、オーギストとシドが入って来た。


「…失礼致します。マリア様。滞在の際、この者がマリア様の警護を致しますので、なんなりと。」

シドは一歩前に出て頭を下げた。


「オーギスト…警護なんていいのに。」


「国王様のご命令です。では、頼んだぞシド。」


「はっ!外におりますのでなんなりとお申し付け下さい。」


二人が出て行くと、マリアはため息をついた。
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