白雨の騎士
ドレスを着替えて音楽会にやって来た。
大勢の人がホールに集まり美しい演奏にうっとりとしている。
しかしアリスはハァッと溜息をついた。
音楽会は昔から大嫌いだった。
アリスが登場すると、あっという間に夫人たちに囲まれた。
皆んなアリスの気を引こうと必死に話題を持ちかけて来た。
未来の女王に今のうちから媚を売っておこうという魂胆だ。
「…アリス様、今日の指揮者はパリで有名な音楽院を卒業した今一番才能ある方ですわ」
「今度詩の朗読会を致しますの」
「…この間の舞踏会で…」
次々と話しかけてくる夫人たちにアリスの頭の中が雑音でいっぱいになった。
王宮の夫人たちは毎日お茶会やらサロンやらを楽しんでいるようだったが、アリスはそのどれにも参加しなかった。
自らサロンを開き貴族達を招待するようにオーギストからは言われているが、ぺちゃくちゃと煩い話を1日中聞くなんてアリスはまっぴらごめんだった。
月一で開かれるこの音楽会への出席は半ば強制だった。
「ねぇ、あのご婦人どなたかしら?」
婦人達が部屋の隅でソファーに一人座る女性を見て言った。
アリスも視線を向けると、確かに見かけない女性が一人静かに本を読んでいた。
女性は顔を上げるとアリスと目が合った。
すると立ち上がり、アリスに近寄って来た。
「…お初にお目にかかります。リアと申します。先週この王宮へ引っ越してまいりました。」
リアはドレスの裾を持って丁寧にお辞儀をした。
「それはようこそ。」
アリスの言葉にリアは柔らかく微笑むと会釈して去っていった。
他の夫人達の様に派手に着飾ることもなく、フンワリとした雰囲気のリアがアリスは少し気になった。
大勢の人がホールに集まり美しい演奏にうっとりとしている。
しかしアリスはハァッと溜息をついた。
音楽会は昔から大嫌いだった。
アリスが登場すると、あっという間に夫人たちに囲まれた。
皆んなアリスの気を引こうと必死に話題を持ちかけて来た。
未来の女王に今のうちから媚を売っておこうという魂胆だ。
「…アリス様、今日の指揮者はパリで有名な音楽院を卒業した今一番才能ある方ですわ」
「今度詩の朗読会を致しますの」
「…この間の舞踏会で…」
次々と話しかけてくる夫人たちにアリスの頭の中が雑音でいっぱいになった。
王宮の夫人たちは毎日お茶会やらサロンやらを楽しんでいるようだったが、アリスはそのどれにも参加しなかった。
自らサロンを開き貴族達を招待するようにオーギストからは言われているが、ぺちゃくちゃと煩い話を1日中聞くなんてアリスはまっぴらごめんだった。
月一で開かれるこの音楽会への出席は半ば強制だった。
「ねぇ、あのご婦人どなたかしら?」
婦人達が部屋の隅でソファーに一人座る女性を見て言った。
アリスも視線を向けると、確かに見かけない女性が一人静かに本を読んでいた。
女性は顔を上げるとアリスと目が合った。
すると立ち上がり、アリスに近寄って来た。
「…お初にお目にかかります。リアと申します。先週この王宮へ引っ越してまいりました。」
リアはドレスの裾を持って丁寧にお辞儀をした。
「それはようこそ。」
アリスの言葉にリアは柔らかく微笑むと会釈して去っていった。
他の夫人達の様に派手に着飾ることもなく、フンワリとした雰囲気のリアがアリスは少し気になった。