白雨の騎士
「…わぁ、ここは変わらないわね。」


温室に着くと、マリアは懐かしそうに辺りを見渡した。

ここは西の塔の外れにある小さな温室。

中では珍しい植物が育てられており、小さな噴水もあった。


「…ねぇ、どうしてあの近衛も連れてきたの?」


アリスは小さな声でマリアに問いかけた。


「…いいの。護衛をつけないと周りがうるさいでしょ?」


アリスは不満そうな表情をした。


「…エルド様が居なかったけど何かあったの?」


「ああ、ちょっと言い合ってしまってね。」

やっぱり、と言ってアリスはため息をついた。


シドは少し離れた場所で二人を見守った。



「…どうして帰ってきたの。」


アリスの言葉に、マリアは俯き手を握りしめた。
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