白雨の騎士
「…それで、どうするの?」


「…そうね。許してもらえないた事は確実だから。。明日にでもまたここを出るよ。」

アリスは表情を暗くした。

行かないで、という言葉が喉まで出たがグッとこらえた。


エルドは眉間にしわを寄せながら二人の話を聞いていた。


「…ご、ごほんっ」

いたたまれなくなったシドは咳払いをした。

すると、アリスとマリアがこちらを向いた。


マリアはエルドを見ると、立ち上がった。



「…父上……」


エルドはマリアの前まで来ると、手を挙げた。


パアンッ!!!



マリアの頬を打つ音が響いた。



「お、叔父上っ!!」


マリアは叩かれた頬に手を当てた。


「…全くお前はどこまで馬鹿な事を言えば気が済むんだ。目を覚ませ!!お前は王族だ!この身の程知らずが!」

再び手を上げようとしたエルドをシドが咄嗟に止めた。


「…王弟殿下!!落ち着いてください!」


「離せ!!こいつは口で言っても分からぬのだ!!」


エルドの言葉にマリアは拳を握りしめて瞳に涙を浮かべた。


「…ならば、親子の縁を切って下さい。」


マリアの言葉に、アリスとエルドは目を見開いた。


「…私は母上が亡くなってたった一年であなたが新しい妻を迎えた時から、父だなんて思っていなかった!私はもう、この国ともあなたとも縁を切る覚悟でここへ帰って来たんです!」


エルドは手を下ろすと、じっとマリアを見つめて暫く黙り込んだ。



「……ならば、今すぐここから出て行け。この国へ戻って来る事は二度と許さぬ。」


それだけ言うと、エルドは温室を出て行った。
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