白雨の騎士
シドは控え室に戻り椅子に腰掛けた。

両手を見ると、まだ震えが止まらなかった。


すると、隣にリダがやって来た。


「どういうコネを使ったか知らんが、これ以上調子に乗るなよ」


それだけ言うとリダは腰に剣を収め、試合へ向かって行った。


リダの言葉にシドは俯き手を握りしめた。


「ほらよ」


ルイがやって来て水を差し出した。


「ああ、すまない。。」

シドは受け取るとぐびっと水を飲み干した。


「何一試合目でバテたんだよ。次は去年の大会で10位以内に入ってる兵士らしいぞ」

ルイの言葉にシドは控え室からリダの試合を見つめた。


***


「今年もかなり腕のいい兵士が揃っていますね」


オーギストは興奮気味で国王に言った。


「先ほどのシドという兵士もなかなかの腕でした。しかし、何故あの者を出場させようと?」


オーギストの問いかけに国王は答えず、チラッとアリスを見つめた。
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