白雨の騎士
アリスと共にシドは医務室へ向かった。

二人が去った会場は動揺が収まらなかった。

リダも唖然とその場に立ち尽くしていた。



「…どうしてわざわざアリス様が?」


「あの兵士とアリス様、まさかそういう関係じゃ?」

人々が騒然とする中、国王は今起きた光景にふっふっふと笑いが漏れた。


「…オーギスト!!ついに、ついに現れたぞ!アリスの心を動かした男が!あのシドという近衛について詳しく教えるんだ!!」


***


アリスはシドの腕を引き医務室へ急いだ。


「…あ、あの、」

シドは一体何が起きているのか全く把握できていなかった。


バンッ!!

アリスは医務室の扉を勢いよく開けた。



「ア、アリス様?!」

突然現れたアリスと兵士に、医務室長のヘレナは驚いた声をあげた。


「…剣術大会で怪我を負った!大至急手当を!!」


ヘレナはアリスの言葉に腕を抑えるシドを見た。


「ど、どうしてアリス様がここへ?!」


「つべこべ言わず、早く!!!」


「分かりました、落ち着いてください。君、腕を見せて」

ヘレナはシドの腕を見た。

血が多く流れている。


「…すぐに手当します。アリス様は隣の診察室で待っててください」


アリスは息を切らしながら、ずっと握っていたシドの手を離した。
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