白雨の騎士
「大丈夫ですか?」

ヘレナと共に部屋に戻ったアリスは椅子に腰掛けた。


ヘレナがハーブティーを淹れてくれた。


「…驚きましたよ。アリス様が怪我をした兵士を連れて来るなんて。」

アリスはハーブティーを一口飲んだ。


「…腕から血が流れているのを見た途端、身体が勝手に…」


ぼーっとしながら答えるアリスをヘレナはじっと見つめた。


「…怪我は大したことありません。安心してください。」


ヘレナの言葉にアリスはホッとした表情をした。



「…ソフィア様を呼んできますね」


ヘレナが出て行った後、アリスは自分の手のひらを広げて見た。


…どうしたんだろう、私。


一方、手当をしてもらったシドも剣術大会の会場へと戻った。


試合は全て終了しており、国王から優勝者へ国の紋章が入った剣が送られていた。

剣を受け取っているのは、リダだ。



「…おい、大丈夫か?」

背後からルイの声が聞こえた。


「あ、ああ。リダさんが優勝したんだな、、」


「ああ。今表彰されている。お前はベスト8入りだってよ。それより、さっきのアレはなんだ?お前、いつの間にアリス様と親しくなっていたんだよ。」

シドは剣を受け取り嬉しそうな顔のリダを眺めた。


「親しくなどなっていない」


「またとぼける気か。お前を連れ去っていくなんて。あの後すごい騒ぎで試合どころじゃなくなったぜ。」


俺にも何故アリス様があんな事をしたのか分からない…


「…シド!」

するとアンナが血相変えてやって来た。
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