白雨の騎士
男勝りな姫君
「ふぁ、」
眠い目を擦りながら、シドは稽古場へやって来た。
昨晩の宴は盛り上がり少し飲み過ぎてしまった。
重い体をやっと起こして、木刀を手にした。
すると、誰か先に稽古場で練習していた。
「…アンナ隊長?」
アンナもシドに気がつくと、汗を拭いこちらにやって来た。
「自主練か?怪我の具合はどうだ。無理に練習してまた傷口が開くぞ。」
アンナは包帯が巻かれたシドの手を見て言った。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。」
シドは左手で木刀を持ち素振りをした。
それにしても、アンナはタフだ。
男よりも男らしい。
「…相変わらずだな、アンナ。」
ふと、背後から男の声がした。
振り返ると黒いコートにフードを被った男が腕を組んで壁にもたれかかっていた。
…誰だ?
カラン…
すると、アンナは持っていた木刀を落とした。
「……ルカ」