白雨の騎士

アンナはまるで幽霊でも見たかのように驚いた顔をしている。


「…久しぶりだな。」

男はフードを取った。

銀髪に同じ色の瞳をした彼はふっと笑みを見せた。


***


午後の稽古が始まる前に、稽古場に兵士達が集まった。


「ルカさん!お久しぶりです!」


リダが興奮気味に言った。


「久しぶりだな、みんな元気そうだ。」


彼の名前はルカ。

どうやら8年前までこの近衛隊で兵士として働いていたようだ。


先輩達がルカに群がる中、シドとルイはその様子を眺めていた。


「…すごい大物が帰って来たな。」


ルイがルカを見て言った。


「知ってるのか?」


「ああ。あの人はこの城ではかなり有名人だ。入隊して一年でその腕が認められ第2部隊の隊長をやっていた。」


入隊して一年で…?!

そんなに剣の腕がすごい人だとは…


「剣の腕だけじゃなく頭もかなりキレる。」


シドの隣でロイが言った。

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