白雨の騎士
アートは一通り説明を終えると書類を整えて席を立った。


「では以上になります。」

一時間みっちり打ち合わせをしてアリスはふぅと深呼吸した。


「ソフィア、ちょっと疲れたから温室に行ってくるわ。音楽会、少し遅れるって言っておいて」


「分かりました。私もお供します。」


「…大丈夫。シドに着いてきて貰うわ。あなたは先に行ってみんなに伝えておいて」


そう言って出て行くアリスの後をシドは慌てて後を追った。



＊＊


「…シド達はアリス様の婿になる為に国王が近衛として募集したんだよな。」


アートはアリスの部屋を後にした後アンナに問いかけた。

「ああ、そうでしたね。なんだか最近そんな事すっかり忘れてました。シドが来てうちも実際人手は足りなかったので今では助かっています。彼、洞察力ありますし。」


「…初めは国王の提案に正直アリス様には意味がないと思っていたが、そうでもなかった様だな。」


「隊長？」

アートの言葉にアンナは彼を見た。



「いや、何でもない。じゃあアンナ。来週は宜しく頼むよ」


去って行くアートを見てアンナは少し表情を曇らせた。




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