親友以上彼女未満
「えっ?」

再び頭の中で繰り返される、あの夜の出来事。

「覚えてないんだもんな。」

立ち上がって、椅子に座っている私に、覆いかぶさる哲平。


「私達、やっぱり……」

「抱いたよ。里麻の事。」

私は今まで一人で悩んでいた事が、馬鹿らしくなってきた。

「何で、次の日に言ってくれなかったの!?」

「普通は、覚えてない方が悪いんだろ!」

「私はずっと、悩んでたんだよ!?」

「何をだよ!何を悩むんだよ!」

顔と顔を合わせて、言い合いになって、お互い睨み合いっぱなし。


「何なの?もし、分かってたら有生君と……」

私が起りながらパソコンに向かうと、哲平は私の手を握った。

「何だよ、言えよ。」

私の瞳に、真っすぐ入ってくる視線。

もう、バクバク言い過ぎて、心臓が持たない。


「ううん。何でもない。」

私はパソコンを、シャットダウンした。

「とにかくもう、終わった事だから。」

私は、立ち上がってオフィスを出た。
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