親友以上彼女未満
有生君、ちょっと残念がってる。

でも、こんな状態で関係が進んでも、心がついていけないと思うんだ。

「ごめんね。」

「何で、謝るの。」

そう聞かれても、はっきりとした答えは出ない。


「もしかして、俺の事。男として、見れない?」

「そんな事ない!」

必死になって、有生君にしがみついた。

その瞬間、有生君の匂いが薫って、ちょっと胸がドキンとする。

「あの……ちゃんと、男の人として、見てるから。」

言い訳がましく叫んだけれど、何か後ろめたいのか、有生君の顔を見れない。


「……じゃあ、キスして。」

「えっ?」

「男として見れるんだったら、キスできるでしょ。」

真剣な表情。

それなのに、私……


哲平の真剣な表情を、思い出している。


「できない?」

「う、ううん。」

私は唇を近づけると、有生君の唇に、軽く口付けた。

見つめ合う私達。

でも、有生君は物足りなさそう。
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