親友以上彼女未満
「そんなんじゃ、足りないよ。」

有生君は、もう一度唇を押し付けて、私の唇を貪るようなキスをした。

「はぁあ……」

甘くて、とろけるようなキス。

今迄だったら、私も欲情して、二人でベッドにダイブするところだ。

でも……


「ごめん、今日はもう、これ以上できない。」

哲平が、頭から離れない。

こんな事、初めてだ。


「……やっぱ、ダメなんだ。」

有生君は私から離れると、悲しい顔をした。

「里麻さん。俺じゃない、誰かを考えてる。」

「えっ?」

じっと私を見るその瞳は、私の心を読んでいるようだった。


「何で、否定しないの?」

そんな事言われても、まだ否定できない私がいる。

「もう、ダメなんだね。俺達。」

有生君は、急に立ち上がった。

「待って、有生君!」

彼の腕を、私は掴んだ。

「まだ、始まったばかりだよ、私達。これからだって。焦らずにじっくり行こうよ。」
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