親友以上彼女未満
「それは……里麻さんの心の中に、俺がいたらの話だよ。」

私は、頭が真っ白になったのと同時に、有生君から手が離れた。

有生君はそのまま、私の家から出て行く。


終わったのだと、分かった。

ただただ、私を好きだと言ってくれた人を、傷つけて終わってしまうなんて。


「……っ!」

泣く資格も、私にはないのに。

泣くな!

泣きたいのは私じゃなくて、有生君の方なんだから。


「ううぅぅぅ……」

泣くに泣けなくて、私は廊下の壁を、右手でバンバン叩いた。

そしてこんな時に限って、哲平の顔なんて、出てきたりする。

私はバカだ。


何であんなに、哲平と一線を越えた事に悩んでいたのか、ようやく分かった。

答えは、”好き”だから。

いつまでも、二人でバカやって、お酒飲んで、あーでもないこーでもないって、やっていきたいから。
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