親友以上彼女未満
次の日は、目の下にクマが出来ていた。

「うわっ!」

朝から哲平が、私の顔を見て、口をあんぐり開ける程に驚いている。

好きな男にこんな顔見られて、私は一体、何をしてんだ。


「酷い顔。」

「知ってる。見ないで。」

ロッカーのドアを閉めて、一人フロアに戻ろうとした。

「里麻?」

哲平が、私の腕を掴む。

と、その時。

有生君が、私達の事を見ていた。

パッと手を放す哲平。

「彼氏の前だったな。」

哲平がそう言うと、有生君は黙って、ロッカールームを出て行った。


「何だ、あいつ。彼女が他の男とイチャついてるのを見ても、余裕ってか。」

私の胸に、何かが刺さる。

「イチャついてないし。もう、彼女じゃないし。」

「まあな。って、えっ?」

目を丸くしている哲平を他所に、私もロッカールームを出た。


背中に、哲平の視線が突き刺さる。

それに期待しちゃってる私は、やっぱりバカだ。
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