親友以上彼女未満
そして乾杯早々、哲平の攻撃は始まった。

「さあ、聞かせてもらおうか。なんで高土と別れたのか。」

途端に、レモンチューハイが酸っぱく感じる。

これが、失恋の味か!


「私がバカだったから。」

これ以上聞かれたくなくて、正直に伝えた。

「答えになってない!」

哲平は、ビールをテーブルに、音を立てて置いた。

「ええ!?」

いや、私が答えてるんだから、それが答えじゃん?


「里麻がバカなのは、前から知ってるんだよ。」

「はあ?」

「俺が聞きたいのは、何でこんな短期間で、別れたのかって事だよ。」


うー!

そこを聞くのか、哲平め!


「……私、有生君と付き合ってから、好きな人がいる事に、気づいたんだよね。」

哲平は、口を開けて、ポカーンとしている。

「だから、あながち間違ってないでしょ。私がバカだったって。」

作り笑いをして、チューハイを一気飲みした。
< 38 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop