親友以上彼女未満
「お兄さん、おかわり!」

もはや、哲平の顔を見る事はできずに、私は誤魔化すように、チューハイのおかわりを頼んだ。

「……なんだ、里麻。好きな奴、いたんだ。」

「えっ?」

振り返ると、哲平がうつむいている。


「仲良くても、知らない事ってあるんだな。はははっ……」

そして哲平も、ビールを飲み干す。

「……おかわりする?」

「いや、俺。芋ロックいくわ。」


哲平が芋ロック!?

本気飲みだ!!


何?私に好きな人がいたのが、そんなにショックだったの!?

ああ、言いたい。

その好きな人って、哲平だよって。

そんな可愛く言えない、不器用人間。


「それで?その好きな奴とは、どうなってんの?」

「ああ……それが全然、距離が離れちゃって……」

だから今こうして、一緒に飲んでるのが、私は奇跡だと言いたい。

「なんだ、それは悲しいな。相手は、脈ありそう?」

「ど、どうかな。」
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