親友以上彼女未満

「今日は先日の台風の影響で、故障の問い合わせが多くなると思います。故障の問い合わせは、故障の窓口に誘導をお願いします。以上。本日も、宜しくお願いします。」

私達も、『宜しくお願いします。』と一声掛けて、自分の席に戻る。

でも哲平は違った。

スタッフさんの席を、自分の足で回り始めた。


「故障の窓口に誘導して、怒られたからって自分で故障かどうか、判断しないように。僕達はあくまで問い合わせの窓口だから。」

一人一人に、言いまわるように伝えている。

真剣に聞いている人もいれば、聞き流す人、無視する人もいる。


周り終わって自分の席に着いた哲平に、私は話しかけた。

「ご苦労な事だね。」

「別に。本当に苦労するのは、直接対応するスタッフさんだから。」

哲平の、そう言う自分よりも他人のところ、尊敬している。

スタッフさんのフォローも、一番親身になっているところも。