偽物の恋をきみにあげる【完】
……もしかしたら。

音信不通なのは、大雅に何かあったわけではなく、彼の意思なのかもしれない。

ふとそう思った。

大雅が「愛してる」なんて言うから、私はすっかり勘違いしたのだ。

私達は最初から、期間限定の恋人ゴッコだ。

最後に会った時、大雅は私に「ばいばい」と言った。

つまり、あの「ばいばい」は、恋人ゴッコの終わりを告げる言葉だったということだろうか。

今考えてみれば、「ばいばい」を言われたのはあれが初めてだったかもしれないのだ。

でも……。

まだ半年経っていなかった筈だ。

そもそも半年という期限の意味は？

ゴッコじゃなきゃいけなかった理由は？

何か深い理由があるのだろうか。

何も教えてくれないまま、大雅は消えた。

……そんなのズルい。

『うん、俺ズルいよ、ちょーズルい。ごめんね』

あの時、大雅はどうしてあんなことを言ったのだろう。

わからないことばかりで嫌になる。


けれど──。

ひとつだけわかることがある。

私を「愛してる」と言った大雅の言葉は、きっと本物だ。

それだけは、何故か信じることができた。

だからこそ、どうしても会いたい。

会って、私のお腹に赤ちゃんがいることを、大雅に伝えたいから。
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