偽物の恋をきみにあげる【完】
日曜日は、1日中ゴロゴロしながら、ウミちゃんとずっとメールして過ごした。

内容はいつも通り他愛ないお喋りだったが、憂鬱な気持ちがとても紛れた。

ここ最近、いわゆるリア友と殆ど連絡を取っていない私にとって、ウミちゃんやサユユは、例え会ったことがなくても紛れもなく親友だ。

だから本当は、大雅が音信不通なことも、赤ちゃんのことも、2人に相談したかった。

けれど、自分の胸の内をまだ文字にできる気がしなくて、結局相談しなかった。

小説も書けない。

私は時々、何も書けなくなるのだ。

楽しみにしてくださる読者様に申し訳なくて、ペンネームの後ろに「@多忙」をつけた。

多忙どころか何もすることがないクセに、酷い言い訳だ。

でも、黙って更新しなくなるよりはマシだ。

更新といえば、コタローくんの連載の更新を、ずっと見ていないような気がする。

ふと気になって、コタローくんのページに飛ぼうとお気に入りクリエイター一覧を開いたら、コタローくんの名前の後ろに「@多忙につき不在」と書かれていた。

これではコタローくんも、ほぼ行方不明みたいなものだ。

……寂しい。

気を抜くと孤独感と不安で押しつぶされそうだから、遅くまでウミちゃんとバカ話をした。
< 158 / 216 >

この作品をシェア

pagetop