偽物の恋をきみにあげる【完】
『えっと、じゃあまず、北瀬虎太朗くんと南川月さんの話でもしようか笑』

「コタローくんと私の話?」

『うん。2年半くらい前だっけ? 南川月ちゃんが、俺の小説読んで大ファンになりました! ってラブコールしてきたの』

「うん、そうだね」

『んである日、月ちゃんの小説読んだらさ、あ、こいつ瑠奈じゃね? ってwww』

「なんでわかったの!?」

『だって、瑠奈が書いてたの、中学ん時の俺でしょw それに年齢も合致するし、小説の舞台、だいたい俺らの地元の千葉だし。お前が小説家目指してたの知ってたし、あとペンネームも』

そうか、私はずっと大雅をモデルにして、初恋の物語ばかり書いていたから……。

まさか本人に読まれるとは思わなかった。

今思えば、なんて恥ずかしいのだろう。

『LUNAだから月。あ、南川の南って俺の苗字から取ったっしょ。ほんと俺のこと大好きだねえ』

「……いいから、続き!」

『でもまあ、半信半疑だったよね。再会するまでは。再会して、お前がまだ小説書いてるって聞いて、やっぱそうかなって思ってたら、明らかに俺とお前だろってエロ連載始めたじゃん?笑』

「エロ連載って……」

『おかげで俺の性癖が世間に駄々漏れ(;ω ; )』

「それは……ごめんね?」

『ま、虎太朗の話はここで一旦置いとくよ』

大雅はそう断った。
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