偽物の恋をきみにあげる【完】
「質問、してもいい?」

『受け付けませんって言ったのにぃ。なに?』

「私とはもう会わないの?」

『うん、とりあえず会わにゃい』

「なんで? 私のこと、嫌いになったの?」

『んなわけあるかボケ。ちゃんと読めや! メロメロに惚れとるわ!( o言o) 』

……なんだそれ、全然理解できない。

好きなのに離れなきゃいけない理由なんて、全然わからない。

「じゃあなんで?」

『なんでって言われても。もう決めたのだ』

「どうしても会ってくれないの?」

『どうしても会いません』

一番肝心なことは説明してくれないまま、大雅は勝手に終わらせようとしている。

──でも。

たとえ終わるとしても、私は彼に、どうしても伝えなきゃいけないことがある。

「あのね、大雅」

『ん?』

「そんなに恋愛ゴッコを終わらせたいのなら、それでも構わない。でもその前に、大事な話があるの」

『そういやそんなメッセージもらってたよな。無視してごめん。なに?』

本当はちゃんと会って伝えたかったのに。

そう思いながら、私はキーボードを叩いた。

「私、赤ちゃんできた」

『え?』

「大雅の赤ちゃん」

私がそう送ると、「ちょっと待ってて」というメッセージが来て、それから5分後、テーブルの片隅にあったスマホが、ブンブンと震え出した。
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