偽物の恋をきみにあげる【完】
『だいたい余命宣告なんてのは、少し短めに言うもんだろ? 1年つってて半年くらいで死んだら問題じゃん? だから、半年なんて余裕だと思ったし』

病名は教えてくれなかった。

でもなんとなく、想像はついた。

頭に浮かんだその恐ろしい病名のせいで、私は余計に頭が真っ白で、何の言葉も返せなくて。

ただ黙って大雅の声を聞いていた。


『でもさ、俺……お前といたら、欲張りたくなったんだよね。もし助かる道があるなら、助かりたいって。だから、入院することにした』

銀河鉄道の行き先、変えたいんだよ。

このままアンドロメダに着いて、素直にネジにされてたまるかよ、ってな。

って、お前のせいでスリーナインになったし笑

てか、恋人ゴッコなんかじゃなく、お前ともう一度、ちゃんと恋愛したいと思ったんだよね。

大雅くんも虎太朗くんも、瑠奈と偽物の恋愛しかしてねーじゃん?

病気治して、今度こそ本物の恋愛して、瑠奈を幸せにしたい。

子供がいるなら尚更な。

子供、まじですげー嬉しいわ。

あ、俺今度、手術受けることになったんだ……ってまあ、ダメ元なんだけどね。

手術受けられる体力ある内に入院してよかった。

パパになれるかもしんないじゃん?

助かる確率、かなり低いらしいんだけどさ。

つーか、たぶん死ぬと思うよ、俺。

でも、もし手術して、助かったら……。


『結婚してよ、瑠奈』
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