偽物の恋をきみにあげる【完】
明日が手術……。
言いようのない恐怖で、手が震えた。
恐ろしい想像に、吐き気が止まらなかった。
想像? いや、想像すらつかない。
あなたがいない世界なんて想像できないほど、私にはあなたが必要なのに。
怖くて怖くてたまらない。
────でも。
震える手を、キーボードに乗せた。
「頑張って! カレー作って 待ってるよ」
大雅、頑張って。
この子と一緒に、ちゃんと待つから。
きっと帰ってくるって、信じてるから。
だから、お願い……頑張って。
窓のカーテンの隙間から、白く冴えた月がちらりと見えた。
……月?
私は急に思い出して、ジュエリーボックスに閉まっていた、大雅のジッポを取り出す。
『月のデザインなんだよ』
でも、そこにはただの円が素っ気なく描かれてあるだけだった。
……これのどこが月なの?
『俺の宝物だから』
「……なにこれ、満月ってこと? ウケる」
独りごちた私の瞳から、涙が零れ落ちた。
その涙を拭って、私はまたキーボードを打つ。
「今夜は綺麗な満月ですねw
だから、私のありったけの気持ちで、あなたを満たしてあげる。
愛してる、愛してる。
世界でいちばん、愛してるよ、大雅」
言いようのない恐怖で、手が震えた。
恐ろしい想像に、吐き気が止まらなかった。
想像? いや、想像すらつかない。
あなたがいない世界なんて想像できないほど、私にはあなたが必要なのに。
怖くて怖くてたまらない。
────でも。
震える手を、キーボードに乗せた。
「頑張って! カレー作って 待ってるよ」
大雅、頑張って。
この子と一緒に、ちゃんと待つから。
きっと帰ってくるって、信じてるから。
だから、お願い……頑張って。
窓のカーテンの隙間から、白く冴えた月がちらりと見えた。
……月?
私は急に思い出して、ジュエリーボックスに閉まっていた、大雅のジッポを取り出す。
『月のデザインなんだよ』
でも、そこにはただの円が素っ気なく描かれてあるだけだった。
……これのどこが月なの?
『俺の宝物だから』
「……なにこれ、満月ってこと? ウケる」
独りごちた私の瞳から、涙が零れ落ちた。
その涙を拭って、私はまたキーボードを打つ。
「今夜は綺麗な満月ですねw
だから、私のありったけの気持ちで、あなたを満たしてあげる。
愛してる、愛してる。
世界でいちばん、愛してるよ、大雅」