偽物の恋をきみにあげる【完】
2度目はムーンリバー、小説サイトだ。

南川月というクリエイターが月奈だってことは、わりとすぐに気づいた。

だって、アイツは中学の頃「小説家になりたい」って公言してたばかりか、ある日俺にこう言ったんだ。

「ペンネームは月にするんだー」

「月って月奈の『る』 じゃん。るーちゃん」

「違うもん。LUNAだから月だもん」

「じゃあ、つーちゃん」

本人は、昔俺とそんな会話したの、すっかり忘れてるけど。

ちなみに中学当時、俺も小説を書いてて、でもなんか恥ずかしくて誰にも言えなかった。

公言してた月奈はカッコイイと思う。

南川月ちゃんとのやり取りはDM。

月ちゃんはすごく人懐っこくて、ストレートで、元気になったり落ち込んだり忙しくて、俺が知ってる月奈そのものだった。

俺と月ちゃんの小説の好みはすごく似てて、本の話をするのも、すごく楽しかった。

いつの間にか、月ちゃんとのメールが1番の楽しみになっていた。

月ちゃんが可愛くて仕方ないのは、月奈だからなのか? 自分でもわからない。

とにかく、顔が見えなくても、恋ってできるんだな。

でも、相手は月奈だ。

やっぱり会いたいな、って思ってた。
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