偽物の恋をきみにあげる【完】
*****
「やっほー大河(たいが)ちゃん、調子はどお?」
今日も月奈(るな)は、満面の笑みで病室に入ってきた。
いつもながら、とにかくまるい顔だなあと思う。
「ち○この調子? ちょーギンギン」
ふざけてそう返すと、月奈は「サイテー」と呆れた顔をした。
俺が書いたあの物語と違って、現実の彼女は、毎日仕事を終えたあと、必ず顔を出してくれる。
気が滅入りそうに静かな黄昏時の病室が、月奈が顔を見せただけで、急に明るく温かくなる。
ありがとうは照れくさいから言わない。
月奈のお腹はだいぶぽっこりして来た。
今5ヶ月目だ。
あと5ヶ月くらいで、俺らのベビーがこの世に誕生すると思うと、なんかもう泣けてくる。
「わー、おっぱいよりお腹の標高が高い」
「は?」
「てか山地と盆地じゃん」
「盆地!? 酷っ! へこんでないし!」
すぐ怒る月奈が可愛くて仕方ない。
「ま、いーじゃん。おっぱいへこんでても好きなんだから」
「だからへこんでないも……ん…………へへ」
尖らした唇に軽くキスをしたら、月奈はちょっと照れた顔をして笑った。
やっぱりまんまるくて、満月みたいだ。
俺の世界を優しく照らす光。
「やっほー大河(たいが)ちゃん、調子はどお?」
今日も月奈(るな)は、満面の笑みで病室に入ってきた。
いつもながら、とにかくまるい顔だなあと思う。
「ち○この調子? ちょーギンギン」
ふざけてそう返すと、月奈は「サイテー」と呆れた顔をした。
俺が書いたあの物語と違って、現実の彼女は、毎日仕事を終えたあと、必ず顔を出してくれる。
気が滅入りそうに静かな黄昏時の病室が、月奈が顔を見せただけで、急に明るく温かくなる。
ありがとうは照れくさいから言わない。
月奈のお腹はだいぶぽっこりして来た。
今5ヶ月目だ。
あと5ヶ月くらいで、俺らのベビーがこの世に誕生すると思うと、なんかもう泣けてくる。
「わー、おっぱいよりお腹の標高が高い」
「は?」
「てか山地と盆地じゃん」
「盆地!? 酷っ! へこんでないし!」
すぐ怒る月奈が可愛くて仕方ない。
「ま、いーじゃん。おっぱいへこんでても好きなんだから」
「だからへこんでないも……ん…………へへ」
尖らした唇に軽くキスをしたら、月奈はちょっと照れた顔をして笑った。
やっぱりまんまるくて、満月みたいだ。
俺の世界を優しく照らす光。