無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「王宮勤めが終わってからはオスカーは毎日ある場所へ寄ってから母親のいる自宅へ戻っていました」

「ある場所というのは?」

「ブリュッケル公爵家です」

オスカーとブリュッケル公爵家との繋がりが見えてしまい、その場にいた全員が眉を潜めた。

「ブリュッケル公爵の動向の調査の方はアレクシスに任せていたな?」

「はい。
前から不穏な噂もあったのでその事も含めて調べさせておりました」

「その不穏な噂とは?」

「領地内に住む民から明らかに違法と思われる税の徴収、搾取を行い、自らの贅の肥やしにしているというものです」

「それで、結果は?」

「噂の通り、民は厳しい税と強引な搾取に限界を感じ領地から逃れる策を講じているところだったそうです」

「我が国でそのような者が……嘆かわしい……」

「徴収と搾取には荒くれ者が一件一件回っていたらしく、その者達との関係もあると思われます」

それを聞いて国王は頭を抱えてしまった。
シュトルツ国最大貴族はその誇りをいつの間にか失い、品位を地に落としていたのだった。
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