無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する

「ある日、クリスティーネ嬢がブリュッケル公爵にこう泣きついていたのを聞いたそうです。
“あの女さえいなければ、私が婚約者になっているはずなのに。
お願いお父様、あの女をどこか遠いところに追いやって”」

それを最後まで聞いて、全員が息をのみティアナを見たが、全てを知っているティアナは特に驚きもせず堂々と立っていた。

「……驚かないのだな」

【全て、知っていましたから】

ティアナの言葉にさらに驚く全員に、一度目を伏せると再び前を向く。

【国王陛下、私は二日後にクリスティーネ嬢の懇願のままブリュッケル公爵の集めた荒くれ者共に連れ去られるようなのです】

「なっ……それは真かっ！？」

【はい、そこで皆様に提案とご協力を願いたいと思います】

全員が戸惑い顔を見合わせる中、誰よりも早くアレクシスが、聞きてみよう。と言い、再び全員がティアナ視線を向けた。

これから話すことは上手く行くかわからない、両国を巻き込んでしまうものだ。
だが、それでもこれしか方法がないのだと、どうか信じてほしいと。
懸命に口を動かし訴えかけた。