無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「もうさ、ここまできたらキスの一つでもしたらいいと思わない?」

「それでいいんですか、ユアン殿下?」

全く、全然よくはないよ。とユアンはバルコニーからティアナとアレクシスを見つめていた。

「この前察したんだよね。
ティアナ、絶対アレクシスに惚れてるよなーって」

「で、きっぱり諦めたと」

「いや、まだ期限まで二ヶ月くらいあるからね。
諦めないよ」

「……諦めが悪い男性は嫌われるかと」

「一途だと言ってくれる?」

それは失礼しました。と全く心のこもってない声で言うナタリーを軽く睨んでから、再び二人に視線を向ける。
一緒に月を見ている二人は絵になっていて、ライバルの自分から見てもお似合いだった。

「いいなー。
やっぱりティアナほしいなー」

「……しつこい男性も嫌われますよ」

「だから、一途なんだってば」

同じ言葉を繰り返しながら笑い合う。
暫くこんな穏やかな時間はお預けになるはずだから、今この平和な時をその身に感じていようとユアンは二人と同じ月を見上げた。
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