無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
ティアナにあてられていた部屋に入ると寝室に入り、躊躇うことなくベッドサイドテーブルの一番上の引き出しを開けて、中に入っていた手紙を取り出した。

“殿下がこれを見ているということは、想定外のアクシデントが起こったのですね。
そして、国王陛下もユアン殿下も私との約束を守り、そちらには私の安否がわからない状態なのだと思います。

私の安否はどうか、身近な動物達にお聞きください。
殿下に声は聞こえなくとも、動物達は殿下の声が聞こえます。
必ず欲しい答えを教えてくれるはずです。

それでも確証が欲しいときは一度だけ、“ヴォルフ”を呼んでください。
彼ならきっと……”

そこでティアナからの手紙は終わっていた。
ヴォルフ……この王宮では聞いたことのない名前に眉を潜める。

手紙を折り畳み、内ポケットに仕舞うとティアナの部屋を出て颯爽と歩きだす。

身近な動物……ティアナを囲んでいた動物達がいる中庭へ向かってーー
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