無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
“ユアン殿下のもとへ行かないといけないの。
動けるようになったらカミラを借りてもいい?”

「カミラを?別にいいけど……そんな状態でユアン殿下のところへ行くってことは、婚約者はユアン殿下に決めたのかい?」

女将さんの言葉に苦笑いしながら首を左右に振る。

まだ決められないし、決めていいのかもわかない。
秘密を知られた時のことを考えるとやっぱりまだ怖いから。
でも、もしも……あの人がこんな私を受け入れてくれたら……その時は……。

“女将さん、最近ヴォルフを見た?”

「ヴォルフ?
ああ、いや、最近はとんと姿を見せないね」

その言葉にほんの少し気落ちして、ベッドから晴れ渡る空を見つめた。

今頃、殿下はどうしているのかと、そう思いながらーー
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