無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
“お世話になりました”
クヴェルで意識が戻ってから二週間、怪我はまだ完治していない中、ティアナは人目につかないように目眩ましのために古くてボロボロなフード付きのマントを頭から被るとユアンのいる王宮へ向かおうとしていた。
「本当に一人で大丈夫かい?
まだ身体中痛むんだろう?」
見送るために宿の前に出ていた女将は心配そうにしている。
久し振りの里帰りが瀕死の状態で見つかったのだから心配されるのは当然だろうな、とティアナは苦笑した。
“大丈夫です。
カミラがいるから”
そう書いて斜め後ろに立つカミラ……雌馬を見上げるとカミラはヒヒン!と鳴いた。
「無理しないで、なにかあったらすぐに帰ってくるんだよ?」
“はい、本当にありがとうございました”
「これ、少ないけどお昼にお食べ」
小さめのバスケットを受け取り頭を下げるとカミラに跨がる。
シュトルツ国にいる間にこっそり乗馬を習っていてよかったと思いながらもう一度だけ女将に会釈をしてカミラに合図を送り走らせた。
クヴェルで意識が戻ってから二週間、怪我はまだ完治していない中、ティアナは人目につかないように目眩ましのために古くてボロボロなフード付きのマントを頭から被るとユアンのいる王宮へ向かおうとしていた。
「本当に一人で大丈夫かい?
まだ身体中痛むんだろう?」
見送るために宿の前に出ていた女将は心配そうにしている。
久し振りの里帰りが瀕死の状態で見つかったのだから心配されるのは当然だろうな、とティアナは苦笑した。
“大丈夫です。
カミラがいるから”
そう書いて斜め後ろに立つカミラ……雌馬を見上げるとカミラはヒヒン!と鳴いた。
「無理しないで、なにかあったらすぐに帰ってくるんだよ?」
“はい、本当にありがとうございました”
「これ、少ないけどお昼にお食べ」
小さめのバスケットを受け取り頭を下げるとカミラに跨がる。
シュトルツ国にいる間にこっそり乗馬を習っていてよかったと思いながらもう一度だけ女将に会釈をしてカミラに合図を送り走らせた。